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土地の相続による所有権移転登記の免税措置について

 租税特別措置法第84条の2の3第1項で「平成30年4月1日から平成33年3月31日」までの間に、土地を相続したものの相続登記(相続人への遺贈も含む)をせずして亡くなった方名義にする相続による所有権移転登記(相続人への遺贈も含む)については登録免許税が免税になる旨が定められています。そこで、今日はこの租税特別措置法第84条の2の3第1項について取り上げてみます。

 

 この免税措置は数次相続が生じているケースで適用されると思います。具体的には下記のケースではないでしょうか?

 

1.被相続人A名義の土地をBが相続する旨の遺産分割協議が成立しているものの、AからBに相続による所有権移転登記をせずしてBが亡くなっている場合。なお、Bの相続人はCとDの2人である。

 

2.被相続人Aの相続人は妻Bと子Cであるが、Aが亡くなった後にBが亡くなり、Bの相続人がCのみであった場合。なお、登記簿上の所有者はAのままである。

 

 1については、Aの遺産をBが相続する旨の遺産分割協議書一式(Aの相続人全員の印鑑証明書付)と、CD間の協議によりBの遺産をCが相続することになった旨を証する遺産分割協議書一式(C及びDの印鑑証明書付)があれば、「年月日B相続、年月日相続」を登記原因とするAからCへの相続登記が可能なので、1のようなケースはあまりないかもしれません。

 

 もし、AからBへの相続登記とBからCへの相続登記とで分けて申請する場合、AからBへの相続登記にかかる登録免許税は「租税特別措置法第84条の2の3第1項」により非課税となります。

 

 2については「Aから妻B及び子Cへの相続登記」と「妻B持分の子Cへの相続登記」の二本立てになります。そうすると、1件目の「AからB及びCへの相続登記」につき、登記申請時点で既に亡くなっている妻Bが取得する持分については、租税特別措置法第84条の2の3第1項の適用があるものと考えることができます。よって、1件目については、子Cが取得する持分の価格が登録免許税算出の根拠になり、妻Bが取得する持分については「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」となります。

 

 自分なりに考えてみたので解釈が合っているかどうか分かりませんが、だいたいこんな感じかな…と思います。ただ、あくまでも土地の相続について適用されるものであり、建物については通常通り登録免許税を算出することになるので注意が必要です。