とある司法書士の戯れ言

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清算結了した会社名義の未登記建物

 昨年、清算結了した会社の代表だった方から「市役所から会社宛に未登記建物の固定資産税の納付書が届いたのだがどうすればいいか」との相談がありました。

 

 清算時の帳簿上では、役員ではない代表の義母から会社への貸付金があり、貸付金については、会社が義母に対して当該未登記建物をもって代物弁済したとのことです。

 

 登記されている建物であれば代物弁済により所有権移転登記をすれば法務局から市役所に所有者が変わった旨の通知がいきますが、未登記建物については、市役所に課税台帳の名義変更の届出をしないと、会社が清算結了したとしても、会社宛に固定資産税納付書が送られてしまうことになります。

 

 そのため、清算手続をした税理士さんから代物弁済したことが分かる資料を入手した上で、固定資産税課税台帳の名義変更に必要な資料を作成することになります。必要な資料として考えられるのは「代物弁済契約書」でしょうか。代物弁済した事実が帳簿上で明らかであれば、代物弁済契約を締結したことを証する代物弁済契約書を作成し、当時の会社代表者と譲り受けた義母から署名押印してもらった上で、固定資産税課税台帳変更届出書と一緒に提出することになります。

 

 未登記建物の相続では、課税台帳の名義変更届出書に相続人を明記した遺産分割協議書の写しを付けて市役所に提出しますが、清算結了した会社についても個人の相続の場合と同様、課税台帳変更届出書に当該建物を処分したことを証するものを付けて提出することになります。

 

 会社の解散及び清算結了をする際に、未登記建物の有無に注意した方がいいですね。