とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

決済時のアクシデント

 決済時のアクシデントで多そうなのは、売主さんの権利証や登記識別情報がないことや登記簿上の住所と現住所が異なるが決済当日に判明することでしょうか。

 

 今回、ワシが経験したアクシデントですが、売主さんはマンション住まいで、登記簿上の住所と固定資産評価証明書にマンションの記載がありました。また、決済前にいただいた売買契約書に記載された売主さんの住所にはマンション名の記載はありませんでした。

 

 そして決済当日、買主さん及び売主さんから権利証や住民票、印鑑証明書を預かり、登記原因証明情報及び委任状に記名押印していただこうとしたところ、売主さんからワシが作成した登記原因証明情報及び委任状の記載のうち「マンション名が違っている」旨の指摘がありました。そのため、印鑑証明書と決済前に取得した登記情報、ワシが作成した登記原因証明情報、委任状を見比べたところ確かにマンション名が違っていました。また、売主さんが持ってきた権利証には印鑑証明書と同じマンション名が記載されてました。具体的にはこんな感じです。

 

☆売買契約書

→〇市〇町1番地

 

☆登記簿上の住所、固定資産評価証明書、ワシが作成した書類

→〇市〇町1番地 墨田川マンション101

 

☆売主さんが持参した印鑑証明書及び権利証に記載されていた住所

→〇市〇町1番地 隅田川マンション101

 

 正しいマンション名は印鑑証明書に記載されている方なので、登記簿上の住所と固定資産評価証明書に記載されているマンション名が間違っていることになります。一瞬、どうしようかと思いましたが、売主さんが持参した権利証に記載されている住所が印鑑証明書と同一だったので、管轄法務局の記載ミスの可能性があるかもと思い、その場で管轄法務局に確認しました。15分くらい経った後、法務局から連絡があり、法務局側の記載ミスだったことが判明しました。

 

 法務局から「マンション名を正しいものに職権更正した上で今回の決済にかかる所有権移転登記手続をする」か「職権更正をせずにそのまま所有権移転登記をする」かの確認があったので、その場で売主さんに確認しました。結果、職権更正をせずに所有権移転登記手続をすることになり、決済後、無事に申請してきました。

 

 このケースは結構レアなケースだと思います。ただ、こういったアクシデントがあった時に、どう立ち回るかが大切です。今回のアクシデントでこのことを改めて実感した次第であります。