とある司法書士の戯れ言

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取締役が1名の株式会社の取締役増員

 先日、久々に取締役が1名の株式会社の取締役増員による役員変更登記を手がけました。役員構成はこんな感じです。

(例)

取締役A

代表取締役

 

 今回、取締役としてBを増員することにしました。定款上、取締役の員数規定は3名以内となっており、取締役が2名以上いる時は取締役の互選により代表取締役を定めるとなっています。そのため、今回は下記の通り登記を進めました。

 

登記の事由:取締役の変更

登記すべき事項:平成30年10月1日取締役B就任

添付書類:定款、株主総会議事録、取締役の決定書、株主リスト、委任状

(就任承諾書は株主総会議事録の記載を援用)

 

 この株式会社は取締役AだけだったのでおのずとAが代表取締役になりますが、新たにBが取締役に就任することになると、定款の定めに従って、改めてAとBの互選により代表取締役を選任することになります。

 

 Aが代表取締役に就任するのであれば、登記自体は上記のとおりで良いですが、Bが代表取締役に就任する場合には「代表取締役Aの退任」と「代表取締役Bの就任」登記をする必要があります。

 

登記の事由:取締役及び代表取締役の変更

登記すべき事項:平成30年10月1日取締役B就任、平成30年10月1日代表取締役A退任、平成30年10月1日代表取締役B就任

添付書類:定款、株主総会議事録、取締役の決定書、株主リスト、委任状

(就任承諾書は株主総会議事録の記載を援用)

 

 取締役の互選により代表者をAとB両名にすることになった場合、登記事項は取締役Bの就任登記と代表取締役Bの就任登記になりますが、添付書類は定款、株主総会議事録、取締役の決定書、株主リスト、委任状が必要になるでしょうね。また、Bについて印鑑届出をするかどうかについても確認する必要があります。

 

 なお、特例有限会社であれば、取締役が1名の時は取締役だけが登記されていますが、株式会社の場合は、取締役が1名であっても取締役だけでなく代表取締役としても登記されています。この点は見落としやすいので気をつけた方が良いと思います。