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農地の条件付所有権移転仮登記と消滅時効について

 先日、決済がらみの件で、判決による条件付所有権移転仮登記抹消登記(原因:昭和45年9月1日売買、条件:農地法第5条許可)の相談がありました。判決主文には「○○地方法務局○○支局昭和45年9月1日受付第1111号の条件付所有権移転仮登記の抹消登記手続をせよ。」と記載されているだけで、抹消登記原因の記載がありません。

 

 判決正本の別紙に請求の原因が記載されていたので確認してみると「被告が原告に対して有する所有権移転許可申請協力請求権は、売買契約成立日である昭和45年9月1日から10年の経過によって消滅時効が完成していることになる。よって、原告は、本訴状をもって、上記消滅時効を援用する。」とありました。

 

 所有権移転許可申請協力請求権とは「所有権移転登記手続に必要な農地法の許可手続に協力を求める請求権」という債権のことであり、買主が売買契約締結後、この請求権を行使しないで10年経過すると消滅時効にかかることになります。

 

 そのため、売主たる原告が買主に対して上記請求権につき消滅時効を援用すると、買主たる被告は農地法の許可手続に協力を求めることができなくなるため、本件条件付所有権移転登記にかかる条件が「不成就」ということになります。

 

 管轄法務局に、この判決主文及び認容された請求の原因により条件付所有権移転仮登記を抹消する場合の登記原因につき照会した結果「昭和55年9月2日(消滅時効完成日の翌日)条件不成就」との回答がありました。消滅時効の完成時点をもって条件不成就が確定するので、原因日付は売買契約の日から10年プラス1日経過した日となります。