抵当権などの担保権を抹消するときに、登記原因証明情報として解除証書や弁済証書など抹消原因を証する書面が必要になります。
金融機関によっては別途解除証書や弁済証書などを発行してくれるところがありますが、中には登記済証に「年月日解除」もしくは「年月日弁済」した旨の奥書と抵当権者の記名押印がしてあったり、解除もしくは弁済した旨を記載した紙で抵当権者の記名押印がしてあるものを登記済証に貼り付けてある場合があります。
登記原因証明情報がこの様な形式になっているケースで、登記済証兼解除(弁済)証書における物件の記載と現在の登記簿上の記載が一致しない場合はどうなるのでしょうか?登記研究499号に下記の質疑応答がありました。
Q:抵当権の登記済証に弁済を受けた旨の抵当権者の奥書きの記載があれば、それが抹消の登記原因証書となるとされていますが、不動産の表示が行政区画の変更などによって設定時と抹消申請時と異なっていても便宜、同様に取り扱ってよいでしょうか。
A:御意見のとおりと考えます。(登研499号)
登記研究によると登記済証兼解除(弁済)証書の物件の表示と、現在の登記簿上の地目、地積などが一致しない場合においても「全部抹消の場合に限り」登記原因証明情報として認められると考えることができます。なぜなら登記研究の事例は登記原因が「年月日弁済」なので全部抹消のケースであることが明らかだからです。
ただ、抵当権設定後に分筆されたあと当該抵当権を全部抹消する時に、登記済証に解除の旨などが奥書された書面を抹消登記の登記原因証明情報として使えるか否かにつき登記官に確認したところ「ダメ」という回答を受けた方もいます。そのため、不安な場合は念のため確認した方がいいかもしれませんね。