とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

建物明渡に関する相談

 先日、久々に建物明渡に関する相談がありました。

 

 賃借人が家賃不払いである場合や、契約とは違う用途で使っている場合など賃貸人と賃借人との間の信頼関係が破壊されるようなことがある場合に、建物明渡請求の正当事由に当たりますし、使用貸借の場合でも「使用貸借契約の目的を達した」と判断できる場合は明渡しを要求することが可能であります。

 

 さて、賃料不払いや用途違反ではなく、例えば建物の建て替えや取り壊しによる建物明渡請求はどうでしょうか?

 

 平成4年7月31日までに成立した建物賃貸借契約については旧借家法の適用を受けます。この場合は「正当な事由がある」ことが前提になります。

 

 賃貸借期間の定めがあれば期間満了の6ヵ月から1年前に賃貸人が賃借人に対して更新拒絶の通知をすることになります。期間の定めがない場合には6ヵ月前に解約申し入れをする必要があります(借家法1条の2、2条、3条)

 

 そして、平成4年8月1日以降に成立した建物賃貸借契約に適用される借地借家法第28条では更新拒絶や解約申し入れをする場合における正当事由の存否の判断材料が明文化されてます。

 

・建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情

・建物の賃貸借に関する従前の経過

・建物の利用状況

・建物の現況

・建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出

 

 建物の老朽化の度合いや建物の必要性、権利金の有無、立ち退き料や移転先の紹介の有無などが正当事由があるか否かの判断材料になりそうです。

 

 まあ、当事者双方が納得の上であれば何ら問題はないのですが、なかなかそうもいかないのが実情だと思います。