とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

代表者が複数いる場合の印鑑届

 商業登記法第20条第1項には「登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめ、その印鑑を登記所に提出しなければならない。改印したときも、同様とする。」と定められています。登記申請書に押印すべき者とは会社の代表取締役、法人の代表理事になるので、代表者は印鑑を登記所に届ける必要があります。

 

 さて、代表者が2名以上いる会社や法人はどうでしょうか?商業登記法第20条第1項によれば「登記の申請書に押印すべき者」に印鑑届出の義務があるため、登記申請書に押印しない者については印鑑届出の義務はないと解釈することができます。

 

 今回、代表取締役がAとBの2名いる会社の役員変更の依頼がありました。その中で今までは代表取締役Aが登記所に印鑑を届け出ていましたが、今度は代表取締役BがAが使っている印鑑を引き継ぐことになりました。

 

 Aが代表取締役を辞任する場合にはBが印鑑届出をすれば事足ります。ただ、代表取締役Aがそのまま留任した上で、Bが、Aが今まで使っていた会社の印鑑を引き継ぐ場合にはどうすればいいのでしょうか?

 

 この場合、ワシは下記の届出書を登記申請書と一緒に提出しました。

 

・Aの印鑑廃止届出書

・Bの印鑑届出書(印鑑カードは引き継ぐ)

 

 今回のケースにより「代表者が複数いる場合には登記所への印鑑届出はそのうちの1名だけでも大丈夫」ということを再確認することができました。