とある司法書士の戯れ言

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会計監査権限しか有していない旨の登記がない監査役

 先日、任期満了による役員変更登記の依頼がありましたが、監査役につき「会計監査権限に限定する」旨の登記がなされていませんでした。

 

 この株式会社は資本金が1億円で決算期が5月末、取締役は平成29年7月に就任し監査役は平成27年7月に就任してます。なお、株式譲渡制限規定がある閉鎖会社です。

 

 監査役の権限が会計監査権限しかないものとみなされる株式会社は、平成18年5月1日より前に設立された旧商法時代の小会社(資本金が1億円以下で負債が200億円未満)であり、発行されている全ての株式につき株式譲渡制限規定がある株式会社です。よって、今回の会社については旧商法における小会社になります。

 

 ただ、この会社は平成27年5月1日以降、初めて退任または就任する監査役の登記と併せて監査役の権限に関する登記がなされていません。よって、この会社の監査役については「会計監査権限に限定する旨の定めを廃止」し、会計監査権限だけでなく業務監査権限も有するのではないかということになります。ゆえに、取締役会への出席義務を有することになり、出席した取締役会の議事録にも記名押印することになります。

 

 なお、この場合でも監査役の権限を会計監査権限に限定する旨を設定し登記するのは可能です。株主総会にて定款変更決議がなされたことにより登記することはもちろん、旧商法時代から会計監査権限しかない旨の証明書を添付して登記することも可能です。ただ、後者の場合は今となっては過料の問題が発生しそうですね。