被後見人さんが亡くなった時点で成年後見は終了し成年後見人としての任務も終了します。ただ、平成28年4月に「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が施行され、被後見人さんにかかる死後事務を行うことができるようになりました。
死後事務として認められているのは以下の通りです。
1.個々の相続財産の保存に必要な行為
(具体例)
① 相続財産に属する債権について時効の完成が間近に迫っている場合に行う時効の中断(債務者に対する請求。民法第147条第1号)
② 相続財産に属する建物に雨漏りがある場合にこれを修繕する行為
2.弁済期が到来した債務の弁済
(具体例)
① 成年被後見人の医療費,入院費及び公共料金等の支払
3.その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結、その他相続財産全体の保存に必要な行為(1、2に当たる行為を除く。家庭裁判所の許可が必要である。)
(具体例)
① 遺体の火葬に関する契約の締結
② 成年後見人が管理していた成年被後見人所有に係る動産の寄託契約の締結(トランクルームの利用契約など)
③ 成年被後見人の居室に関する電気・ガス・水道等供給契約の解約
④ 債務を弁済するための預貯金(成年被後見人名義口座)の払戻し
成年後見人が上記1~3の死後事務を行うためには以下の要件を満たす必要があります。
① 成年後見人が当該事務を行う必要があること。
② 成年被後見人の相続人が相続財産を管理することができる状態に至っていないこと。
③ 成年後見人が当該事務を行うことにつき,成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかな場合でないこと。
先日の研修のテーマだった「死後事務委任契約」と比較すべく取り上げてみました。
☆参照(法務省HP)
「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が平成28年10月13日に施行されました。