とある司法書士の戯れ言

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農地から非農地への地目変更登記後の所有権移転登記

 先日、このような売買による所有権移転登記の依頼がありました。事実関係を時系列順に並べるとこのような感じです。なお、売主はAで買主はBとします。

 

1.令和1年9月1日、AB間で売買契約を締結した。なお、BがAに対し売買代金全額の支払をもって所有権が移転する旨の特約がある。

2.令和1年11月1日、Aは令和1年10月1日付地目変更による「田」から「雑種地」への地目変更登記を申請し、11月10日に登記が完了した。

3.令和1年12月1日、BはAに対して売買代金全額を支払った。

4,令和2年1月1日、A及びBは司法書士に登記手続の依頼をした。

 

 この場合における所有権移転登記の登記原因は「令和1年12月1日売買」となり、農地法の許可書は不要です。なぜなら、地目変更日よりも後の原因日付で売買による所有権移転登記をするからです。

 

☆根拠

1.農地から非農地への地目変更登記後、地目変更前の原因日付で所有権移転登記を申請することの可否(登記研究第460号)

〇要旨 農地から非農地へ地目変更がなされている土地について所有権移転登記申請をなす際、その原因日付が地目変更より前の日付である場合には、農地法に基づく許可書の添付を要する。なお、「年月日不詳地目変更」として登記されている土地についてはこの限りでない。

 

2.農地法の許可を条件とする所有権移転仮登記の本登記の原因の記載と農地法の許可書の添付の要否(登記研究第575号)

〇要旨 「平成〇年4月1日売買」を原因として農地法の許可を条件とする所有権移転仮登記がされている農地につき、「平成〇年5月1日地目変更」を原因として畑から宅地に地目変更の登記がされた場合には、農地法の許可書を添付することなく「平成〇年5月1日売買」を原因として、本登記の申請をすることができる。