とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

金融機関の支店が抵当権者である場合

 先日、相続登記の依頼を受けた際に不動産の登記情報を確認したところ、大正時代に設定された古い抵当権の登記がありました。抵当権者は地元のA銀行です。なお、A銀行の本店所在地は昭和40年代に変わっています。

(乙区)

1番 抵当権設定 抵当権者(住所)株式会社A銀行T支店

 

 登記簿上の住所は当時の本店所在地ではなく、当時のT支店の住所です。そう、当時は会社の支店を抵当権の登記名義人とすることが可能だったのです。

 

〇根拠

・明治34年1月25日民刑第16号民刑局長回答

・明治35年7月8日民刑第634号民刑局長回答

 

 さて、この抵当権を抹消する際に、変更証明書として以下の書類が必要になります。

 

・抵当権の登記名義人が当時A銀行の支店であったことを証する閉鎖登記簿謄本

・当時のA銀行の本店所在地から現在の本店所在地に至るまでの経過が分かる閉鎖登記簿謄抄本

 

 この件はこれから準備を進め、相続登記完了後に手がけることになります。このような古い抵当権の登記自体、初めて見ましたね。