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債権譲渡に関する最高裁判決

 債権譲渡については平成11年に最高裁判決が出ています。内容は下記の通りです。

 

最判:平成11年1月29日

・債権譲渡契約にあっては、譲渡の目的とされる債権がその発生原因や譲渡にかかる額等をもって特定される必要があることはいうまでもなく、将来の一定期間内にはっせいし、または弁済期が到来すべきいくつかの債権を譲渡の目的とする場合には、適宜の方法により右期間の始期と終期を明確にするなどして譲渡の目的とされる債権が特定されるべきである。

・右契約の締結時において右債権発生の可能性が低かったことは、右契約の効力を当然に左右するものではないと解するのが相当である。もっとも、契約締結時における譲渡人の資産状況、右当時における譲渡人の営業等の推移に関する見込み、契約内容、契約が締結された経緯等を総合的に考慮し、将来に一定期間内に発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約について、右期間の長さ等の契約内容が譲渡人の営業活動等に対して社会通念に照らし相当とされる範囲を著しく逸脱する制限を加え、または他の債権者に不当な不利益を与えるものであると見られるなどの特段の事情の認められる場合には、右契約は公序良俗に反するなどして、その効力の全部または一部が否定されることがあるものというべきである。

 

 平成11年の最高裁判決では、将来債権を譲渡担保の目的とする場合には、債権が発生する始期と終期を明確にするなどして、目的になる債権を特定する必要があると判示しています。これは譲渡人や他の利害関係人の保護のためということですね。