現在、債務者死亡から6ヵ月以上経過した根抵当権の債務者の免責的債務引受の件を手がけています。今回は債務者の相続人全員が出席した遺産分割審判にて債務を引き継ぐ相続人(引受人)を決定し、債権者が引受人に対して承諾するケースであります。登記原因証明情報の内容は下記のとおりです。
〇登記の原因となる事実又は法律行為
(1)本件根抵当権の債務者Xは平成25年1月1日に死亡し、相続を原因として債務者を下記の者とする根抵当権変更登記がされている。よって、債務者につき相続が発生してから6ヵ月以上経過しているのが明らかなため、本件根抵当権は元本確定している。
A市Y町1番地 A
A市Y町2番地 B
A市Y町3番地 C
A市O町4番地 D
U市H町5番地 E
(2)令和2年3月25日に行われた被相続人Xの遺産分割審判にて、引受人たるDと、債務者たるA、B、C、Eとで、本件根抵当権の被担保債権たるA信用金庫からの借入金についてはDが免責的に引き受ける旨の合意をしている。なお、遺産分割審判は令和2年4月11日に確定している。
(3)債権者たるA信用金庫は、令和2年6月15日、引受人たるDに対して(2)の合意につき承諾をした。
(4)債権者たるA信用金庫は、(3)の承諾の際に、引受人たるDに対して本件根抵当権をDが引き受けた債務に移す旨の意思表示をした。
(5)よって、令和2年6月15日、上記(2)の免責的債務引受の合意の効力が生じ、本件根抵当権の債務者はDに変更された。
(6)なお、Dが引き受けたA信用金庫からの借入金につき、Bが連帯保証人になって
いたが、すでに当該連帯保証契約が解除されているため、Bの承諾は不要である。
今までも遺産分割調停や審判で、債務者の相続人の中から引受人を決めていたケースはあったと思います。改正前はこのような場合でも債権者と債務者の相続人全員とで免責的債務引受契約を締結していたと思いますが、今回の改正により債権者から引受人への承諾があれば良くなりました。なお、今回のケースで設定者と債務引受人が別人の場合、設定者の承諾が必要です。
改正債権法、これからさらに勉強する必要がありますね。