とある司法書士の戯れ言

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養子縁組前の養子の子が相続人になるケース

 民法第887条第2項但書で養子縁組前に出生した子については代襲相続人にならない旨が規定されています。ただし、養子縁組前に出生した子でも被相続人直系卑属になる場合は代襲相続人になります。具体的には下記の事例になります。

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 平成22年に甲は被相続人Xとその配偶者Yと養子縁組をしました。そして、乙はXとYの実子たる長女であります。そして、甲と乙との間に平成20年に生まれたAと平成24年に生まれたYの2人の子どもがいます。

 

 甲が平成30年に亡くなり、被相続人Xが令和2年10月1日に亡くなりました。そこで、Xの相続人が誰になるかが問題になりますが、配偶者YとX及びYの長女である乙、亡甲の子どもであり養子縁組後に生まれたBは甲の代襲相続人になります。

 

 さて、甲がXYと養子縁組する前に生まれたAについてはどうでしょうか?養子縁組前に生まれた子なので甲の代襲相続人にならないと考えがちです。ただ、AはXYの実子たる長女乙の子どもであるため、X及びYと血が繋がっている直系の孫でもあり、乙を通して亡甲の養親XYの直系卑属になるため、民法第887条第2項によりXの代襲相続人になります。(平成元年8月10日大阪高裁判決)

 

 このようなケースもありそうです。養子縁組前の子どもが被相続人直系卑属にあたるか否かにつき注意する必要がありますね。