とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

公正証書遺言が2通ある相続

 先日、このような相続の相談があり受託しました。ポイントは4つあります。

 

1.公正証書遺言が2通あり内容が全く異なる点:新しい方が優先

2.遺言者の登記簿上の氏(甲野)と後に作成された公正証書遺言に記載されている氏(乙野)が違う:遺言者は夫が死亡後に甲野から旧姓の乙野へ復氏届をしている。

3.公正証書遺言に記載されている相続人の氏(甲野)と現在の氏(乙野)が違う:2の母親の復氏と同時に相続人たる子どもは、氏を甲野から乙野へと変更する「子の氏の変更許可申立」をした。

4.遺言者の登記簿上の住所と死亡時の住所が異なる:戸籍附票で登記簿上の住所地から死亡時の住所地に住所移転した旨が出ていた。

 

 復氏届とは配偶者が死亡した後に、婚姻前の氏(旧姓)に戻す手続です。復氏届は本籍地のある市町村役場または住所がある市町村役場に提出することになります。また、子どもについても住所地を管轄する家庭裁判所に母親と同じ氏にする旨の「子の氏の変更許可申立」することにより、相続人たる子どもも母親と同じ氏(母親の旧姓)になります。

 

 よって、被相続人及び相続人の戸籍には、甲野から母親の旧姓たる乙野に名字が変わった旨の経過が出ている必要がありますし、住所が移転した旨の記載がある戸籍附票が必要です。また、相続人の住所証明書についても戸籍附票または本籍地入りの住民票があれば十分ですね。