合資会社の無限責任社員が死亡退社すると、定款に別段の定めがない限り法定退社原因になるため、有限責任社員だけになり合同会社に種類変更したものとみなされます。
さて、合同会社にみなし種類変更された場合の資本金の額はどうでしょうか。合資会社にも「資本金の額」の概念はあり(会社法620条、会社計算規則30条、44条1項)、合資会社の資本金の額は、有限責任社員と無限責任社員の出資額を合わせた合資会社の社員の全出資額になります。
よって、みなし種類変更後の合同会社の資本金の額は、種類変更直前の合資会社の資本金の額となります(会社計算規則34条1号参照)。
なお、無限責任社員の死亡に伴う退社による持分の払戻しに伴い、資本金の額が減少するため、前提として債権者保護手続が必要になります。よって、債権者保護手続及び資本減少手続は、合資会社から合同会社への種類変更の登記後にすることになります。
また、種類変更による合同会社の設立登記には「資本金の額の計上に関する証明書」は必要になります。これは、資本金の額を証明するために添付します。
ちなみに、合資会社の定款に「無限責任社員が死亡したときには、その相続人が社員の地位を承継する旨」の定めがあれば、死亡した無限責任社員の相続人が無限責任社員となり、当該合資会社は有限責任社員のみとはなりません。よって、合同会社に種類変更したとみなされずに済むことになります。