とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

分筆前の農地転用届出書

 先日あった決済でこんなことがありました。農地転用届出書に記載されている不動産の表示と売買物件の表示が異なっていたのです。なお、売主さんと買主さんは農地転用届出書に記載されている通りでした。

 

☆売主X 買主Y

☆売買契約書に記載されている不動産の表示(契約日は令和3年7月1日)

A市B町1番1の土地の一部 田 300㎡

☆農地転用届出書記載の不動産(届出受理日は令和3年7月15日)

A市B町1番1 田 900㎡

☆分筆後の不動産の表示(令和3年10月15日A市B町1番1の土地から分筆)

A市B町1番2 田 300㎡

 

 さて、今回の売買物件はA市B町1番2の土地になりますが、令和3年7月15日付で受理されている農地転用届出書をもって、売買を原因とするXからYへの所有権移転登記は可能でしょうか?

 

 実際に管轄法務局に照会したところ、1番2の土地は1番1の土地から分筆されたのが登記簿上明らかであり売買当事者も変わらないことから、農地転用届出の効力は分筆前の1番1の土地全体に及んでいるものとして扱うことができるので、1番1の土地にかかる農地転用届出書を添付すれば、1番2の土地の所有権移転登記も受理するとの回答でした。

 

 決済の場でこのような農地転用届出書を渡されたので面食らってしまいました。ゆえに、その場で管轄法務局に照会をかけ回答が出た後に決済を進めたのは言うまでもありません。

 

※参照:農地法第3条ないし第5条の規定による許可書の地積と登記簿の地積とが相違しても、地番その他の表示により同一の土地と認められる場合は、その登記の申請を受け付けてもよい。(昭37.6.26民甲第1718号参照)