とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

法人が債務者の場合における注意点

 現在手がけている根抵当権抹消登記請求訴訟ですが、債務者は法人であります。このようなケースにおける注意点は以下の通りです。

 

1.債務者たる法人につき破産手続が開始し、破産終結決定があった場合(以下引用)

・(連帯)保証人との関係(平成15年3月14日最高裁第二小法廷判決引用)

 会社が破産宣告を受けた後破産終結決定がされて会社の法人格が消滅した場合には、これにより会社の負担していた債務も消滅するものと解すべきであり、この場合、もはや存在しない債務について時効による消滅を観念する余地はない。この理は、同債務について保証人のある場合においても変わらない。

 したがって、破産終結決定がされて消滅した会社を主債務者とする保証人は、主債務についての消滅時効が会社の法人格の消滅後に完成したことを主張して時効の援用をすることはできないものと解するのが相当である。

 

・物上保証人との関係(平成11年3月17日東京高裁判決引用)

 法人について破産手続が開始された後破産終結決定が行われた場合、当該法人に対する債権は消滅するが、破産法366条の13(現行破産法253条2項)の趣旨を類推して、右債権を担保するために設定された根抵当権の効力には影響を及ぼさず、その場合、独立して存続することになった根抵当権については、被担保債権ないしその消滅時効を観念する余地はないから民法167条2項(現行民法166条2項)の原則に従い20年の時効によって消滅すると解するのが相当である。」としている。

 

 このように、破産終結決定が行われた場合、当該法人が負担していた債務は消滅し当該法人の法人格も消滅します。

 ただし(連帯)保証人は、主債務の消滅時効が当該法人の法人格消滅後に完成した場合には、消滅時効完成を主張し時効の援用をすることができないです。また、物上保証人についても、破産終結決定による被担保債務が消滅により、独立して存続することになった(根)抵当権そのものの消滅時効を援用することになります。

 

2.債務者たる法人につき破産手続が開始し同時破産廃止決定の場合

 当該法人が負担していた債務が存続するものとして扱うため(連帯)保証人もしくは物上保証人は、当該債務の消滅時効を援用することができます。

 

 今回は上記2の主張を補充した準備書面を被告に送達することになったので、期日が1回増えました。