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根抵当権の元本確定事由

 民法第398条の19、398条の20に根抵当権の元本確定事由が定められています。根抵当権の元本確定事由が何であるかによって、抹消登記の前提としてする登記が変わるので、おさらいの意味を込めて整理しようと思います。

 

1.契約で定めた元本確定期日の到来

2.根抵当権者と設定者、債務者との元本確定の合意があった場合

3.根抵当権設定者に生じた確定事由

・設定の時から3年経過後に元本確定請求をした場合(元本確定請求から2週間経過すると元本確定する。)

・設定者が破産手続開始の決定を受けた時。ただし、破産手続開始の決定の効力が消滅した場合は元本確定しなかったものとみなされる。

4.債務者に生じた確定事由

・債務者が破産手続開始の決定を受けた時。ただし、破産手続開始の決定の効力が消滅した場合は元本確定しなかったものとみなされる。

・債務者につき相続が発生し、その相続開始後6ヵ月以内に「指定債務者の合意」の登記をしなかった場合。

・債務者につき合併があり設定者より元本確定請求権を行使された場合。ただし、債務者に合併があった場合で、設定者が債務者である場合は確定請求はできない。

5.根抵当権者に生じた確定事由

根抵当権者につき相続が発生して、その相続開始後6ヵ月以内に「指定根抵当権者の合意」の登記をしなかった場合。

根抵当権者につき合併があり、根抵当権設定者より元本確定請求権を行使された場合。

根抵当権者が担保不動産に競売等の差押の申立てをした時。この場合、元本は競売開始決定または差押がなされた時に確定する。

根抵当権者が第三者による担保不動産に対する競売手続の開始または滞納処分による押があったことを知った時。この場合、根抵当権者が知ったときから2週間が経過した時に確定する。ただし、差押などの効力が消滅した場合は、元本確定しなかったものとみなされる。

 

 根抵当権者が破産手続開始の決定を受けた時は元本確定しないことにつき注意が必要ですね。