先日、農地から非農地に地目変更登記がなされた乙名義の土地につき、真正な登記名義の回復を原因として乙から丙への所有権移転登記ができるかどうかにつき相談がありました。話を聞くとこの土地は、丙が甲から購入したものであるが、誤って、乙が甲から売買により取得した旨の所有権移転登記がなされてしまったとのことでした。
ただ、売買は平成1年10月1日で、地目変更の日は平成1年12月1日だった場合、非農地への地目の変更の登記原因の日付よりも前に所有権の移転があったことが明らかです。
そのため、この状況で乙から丙に真正な登記名義の回復による所有権移転登記をする場合、甲から丙に売買により所有権移転することにつき、農地法第5条の許可がおりていることが必須となり、甲から丙への売買による所有権移転にかかる農地法第5条許可書が必要になります(登記研究第714号)。なお、農地法第3条許可の場合も同様です。ただ、前の登記名義人に回復する場合は農地法の許可は不要です。