とある司法書士の戯れ言

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学校法人の理事長変更

 先日、学校法人の理事長変更登記の依頼がありました。今回は前任理事長が辞任し新たに理事長が就任することになりました。

 

 学校法人の場合は理事長選任方法を寄付行為で確認した上で、必要な書類を揃えていくことになります。寄付行為には、学校法人の理事長は理事会決議で選任する旨が定められているため、必要な書類は以下の通りになります。

 

・寄付行為

・前任理事長の辞任届

→ 法人届出印を押印するか、個人の実印を押印し印鑑証明書を添付する。

・理事会議事録

・理事長の就任承諾書

・理事長に選任された者が理事に選任されたことを証する評議委員会等の議事録

・理事長に選任された者が理事に就任することを承諾した就任承諾書

・印鑑証明書

→ 新理事長については必ず必要です。前理事長が理事として残って理事会に出席しているか否かで必要な印鑑証明書は変わります。

・印鑑届(法務局提出)

 

 なお、今回の学校法人の登記簿を確認したところ、現在の理事長さんは平成17年に就任した旨の登記以外はなされていません。学校法人については、理事の任期が法定されていないため、寄付行為をもって理事の任期が定められます。

 

 なお、当該学校法人が設置する学校の校長(学長、園長)は、私立学校法第38条第1項第1号により、当然に理事となります。校長である理事については、校長職にある限り、理事の地位に在り続け、任期がないものとなります。ゆえに、校長職にある理事が理事長である場合は、理事長として退任事由が生じず、かつ、理事として退任事由が生じないのであれば、理事長の変更の登記はする必要がないことになります。

 

 また、任期満了による退任または辞任による退任の場合において「前任理事は、退任後、後任理事が就任するまでその職務を行う」旨の寄付行為の定めがある時は、前任理事の辞任または任期満了に基づく退任登記は、後任者の就任と同時になすべきであるそうです。よって、登記期間も後任者の就任の日から起算されます。

(参照:大正2年11月14日民第823号法務局長回答)

 

 よって、今回のように平成17年に理事長が就任した後、登記がされていなくても問題ないと言えますね。