とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

社会福祉法人における書面決議

 先日、地元の社会福祉法人より理事長の変更登記の依頼がありました。内容を確認してみると、改選期は昨年で、今年に入ってから理事長が亡くなり後任者を選任することになったとのことでした。ただ、昨年は理事長の変更登記をしていないです。

 

 また、昨年はちょうど新型コロナウイルスの感染が拡大していた時期に評議員会や理事会を開催することになったため、すべて書面決議で行われていました。

 

 社会福祉法人の場合、評議員会は社会福祉法第45条の9第10項により、議決権を行使することができる評議員全員の同意があれば書面決議は可能です。また、理事会についても社会福祉法第45条の14第9項により、定款に定めがあれば議決権がある理事全員の同意があれば書面決議が可能です。

 

 評議員会を書面決議により開催する場合、理事会で決議事項を決定した上で「提案書」と「同意書」を評議員に送付します。そして、最後の同意書を受領した日が決議の日となり評議員会議事録を作成することになります。評議員会の決議事項の中に理事の選任に関する事項があれば、選任された理事につき就任承諾書が必要になります。

 

 理事会を書面決議により開催する場合、「定款」の定めに従って進めることになります。評議員会と同じように「提案書」と「同意書」を理事に送付します。そして、最後の同意書を受領した日が理事会決議の日になり理事会議事録を作成します。なお、監事全員から異議を申し立てない旨の確認があったことを証する必要もあります。

 

 理事会の決議事項の中に理事長の選任に関する事項があれば、選任された理事長につき就任承諾書が必要になります。

 

 よって、今回の登記に必要書類は以下の通りになります。

 

・定款

・前任理事長が死亡したことを証する書面

評議員会議事録(提案書+同意書+議事録):前任理事長及び後任理事長を含む理事が選任されていることを証するため。ゆえに、前任理事長選任分と後任理事長選任分各々1通ずつ必要である。

・理事会議事録(提案書+同意書+監事全員の確認書+議事録):前任理事長及び後任理事長が理事長に選任されていることを証するため。ゆえに、前任理事長選任分と後任理事長選任分の各々1通ずつ必要である。

・後任理事長につき「理事としての就任承諾書」および「理事長としての就任承諾書」

・後任理事長の印鑑届(印鑑証明書付)