とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

法人の理事長を予選できないケース

 法人で理事などの役員の任期が、法令または定款、寄付行為、規則により「○年」と定められているものがあります。それは下記の法人になります。

 

・医療法人

・学校法人

・宗教法人

NPO法人

中小企業等協同組合

 

 このような場合、理事の任期が2023年3月31日で満了する場合、通常は任期満了前に次の理事などを社員総会などで選任し、2023年4月1日付で理事に就任することを承認する旨の就任承諾書を、社員総会などの後に予めいただくことになります。

 

 その後、定款または寄附行為、規則等の定めに従って理事会もしくは理事の互選により理事長を選定することになります。ただ、従前の理事と改選後の理事が同一であれば、理事会もしくは理事の互選により理事長を選任することができますが、従前の理事と改選後の理事が異なる場合、その後に行われた理事会において理事長の予選ができなくなります。

 

(1)理事会において理事長の予選が可能なケース

改選前:理事長A、理BC(任期満了日は2023年3月31日)

改選後:理事長A、理事BC(2023年4月1日付重任)

 

(2)理事会において理事長の予選が出来ない場合

改選前:理事長A、理事BC(任期満了日は2023年3月31日)

改選後:理事長A、理事CD

 

(2)の場合、理事については2023年4月1日付で重任、理事長については4月1日以降に行われる理事会で選任し、就任承諾してもらうことになります。ゆえに、4月1日に理事会が行われ理事長に選任され同日付で就任承諾した場合は、2023年4月1日重任となります。(コメント欄参照のこと)

 

(1)のケースでは理事全員ABCのまま変わらないため、理事長を予め選任することができますが(2)のケースでは4月1日に理事がABCからACDに変わるため、理事長を選任する理事会は4月1日以降に行う必要があります。この点については気をつける必要がありますね。