とある司法書士の戯れ言

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種類株式を発行している株式会社の役員改選

 先日、議決権のない種類株式を発行している株式会社の役員改選の依頼がありました。決算期は6月末日です。この会社については一昨年も役員変更登記を手がけたので、その時の株主構成を確認しました。また、種類株の内容も登記簿で確認し、議決権のある普通株式の株主と種類株の株主の人数と持ち株数と議決権数を算出しておきました。

 

 今回も役員の入れ替えがあるので、詳細はこれから確認することになります。

 

 定時株主総会で議決権を行使できる株主の基準日は定款で定められています。この会社については「事業年度の末日時点の最終の株主名簿に記載されている」株主が議決権を行使することができるので、この会社については6月末日時点の株主構成を確認する必要があります。

 

 なお、今回の役員改選については種類株主総会での決議は不要です。種類株主総会での決議を要するケースは、ある種類の株式の種類株主に損害を及ぼすおそれがある時です。この場合、ある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会での承認決議が必要。具体的には以下のケースになります。(会社法第322条第1項)

 

1. 次に掲げる事項についての定款の変更(第111条第1項又は第2項に規定するものを除く。)

・株式の種類の追加

・株式の内容の変更

・発行可能株式総数又は発行可能種類株式総数の増加

2.株式の併合又は株式の分割

3.第185条に規定する株式無償割当て

4.当該株式会社の株式を引き受ける者の募集(第202条第1項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)

5.当該株式会社の新株予約権を引き受ける者の募集(第241条第1項各号に掲げる事項を定めるものに限る。)

6.第277条に規定する新株予約権無償割当

7.合併

8.吸収分割

9.吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継

10.新設分割

11.株式交換

12.株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得

13.株式移転

 

 種類株式を発行している場合は、議決権を行使できる株主や決議内容、種類株主総会の開催の要否など確認事項が多いですね。