とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

昭和30年代の市町村合併

 先日、昭和30年代の市町村合併がらみの件で聞かれたことです。具体的にはこんな感じです。

 

〇所有者Xの登記簿上の住所:群馬県山田郡矢場川村大字矢場10番地

 

〇所有者Xの現住所:栃木県足利市〇〇町10番地

 

 一見すると全く別の住所に見えますが、実は、ワシが住む足利市は昭和30年代に越境合併により群馬県から栃木県足利市に組み入れられた地域があります。今回はまさにその地域在住の方が売主で登記簿上の住所が合併前の表記であります。ちなみに、売主さんは一度も引っ越ししておらず、ずっと同じ所に住んでいます。

 

 このケースは決済が前提で、所有権登記名義人住所変更登記の要否を明確にしないとマズかったため地元の法務局にも照会してもらいました。結論は、番地が変わっていないため所有権登記名義人住所変更登記は不要とのことでした。「群馬県山田郡矢場川村大字矢場」が越境合併により「栃木県足利市〇〇町」になったことはいわゆる「公知の事実」になりますしね。

 

 ただ「群馬県山田郡矢場川村大字矢場」が合併による編入により「栃木県足利市〇〇町」変わったことが分かるものを添付してほしいとのことでした。この場合、所有者の戸籍謄本や除籍謄本、戸籍附票、閉鎖登記簿謄本などが考えられます。この取り扱いはローカルルールだと思われるため、同様の案件で取り扱いが異なるということも十分あり得ると思います。