とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

根抵当権者が清算結了していた株式会社だったケース

 2015年6月から2016年3月にかけて、清算結了した会社名義の根抵当権抹消の件を手がけていました。この件は、地元の土木事務所からの依頼で、河川改修に伴う土地買収にかかる2筆の土地に登記されている根抵当権を抹消してほしいというものでした。

 

 このケースでは、清算結了していた根抵当権者たる株式会社につき、裁判所で清算人を選任してもらった上で、土地所有者を原告として、根抵当権変更登記請求訴訟及び根抵当権抹消登記請求訴訟を提起しました。

 

 このケースでは、根抵当権の債務者が個人だったので、債務者の相続開始から6ヵ月経過をもって元本確定させることにした上で、元本確定時に債務が存在しない旨を主張・立証することにしました。

 

 債務者の相続人が相続放棄していたので、相続放棄申述受理照会をして相続人を特定しました。そして、判明した相続人に対し、根抵当権者からの被担保債務の履行請求の有無を確認し、履行請求が一度もなかった旨の回答を得ただけでなく、物上保証人から根抵当権者に対して被担保債務につき消滅時効を援用することで、元本確定時に債権者たる根抵当権者に対する債務が存在していないことを主張、立証しましたね。

 

 根抵当権抹消後、2017年の10月に2筆のうち1筆が国土交通省に買収されました。そして、もう1筆についても今年の4月に国土交通省に買収されてました。今年買収された土地には、所有権移転請求権仮登記もされており、仮登記がされた経緯も複雑でした。ワシは根抵当権抹消登記が完了した時点で、お役御免になりましたが、その後どうなったかにつき気になっていたのは言うまでもありません。

 

 今年の3月に一方の土地の所有者かつもう一方の土地の所有権移転請求権仮登記名義人から連絡があったので、買収間近かなと思っていたところ、案の定そうでした。2筆とも買収が完了したので、ワシが手がけた件もようやく形になりましたね。大変嬉しく思います。

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