とある司法書士の戯れ言

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根抵当権抹消登記請求訴訟の訴額について

 元本確定前の根抵当権抹消登記請求訴訟においては、極度額が目的物の価額の1/2よりも低額な場合には極度額が訴額になります。極度額の方が目的物の価額より多い場合、訴額は目的物の価額の1/2ということになります。

 

 さて、元本確定前の根抵当権については、元本確定事由の発生を主張した上で元本確定時において被担保債務が存在しない旨を主張することになります。この場合、債務者の死亡後6ヵ月以上経過しているのであれば、相続による根抵当権の債務者変更登記を申請し、債務者の破産等によれば根抵当権の元本確定登記を申請することになります。

 

 ワシは、根抵当権抹消登記請求訴訟を手がけた際に元本確定事由として、債務者の相続開始から6ヵ月経過している旨を主張したケースと、債務者破産による元本確定を主張したケースがあります。前者の場合は、根抵当権抹消登記手続請求と併せて債務者相続による根抵当権変更登記手続請求をし、後者の場合は、根抵当権抹消登記手続請求と併せて根抵当権元本確定登記手続請求をしました。

 

 前者の場合の訴額ですが、裁判所と打ち合わせをした結果、根抵当権抹消登記請求訴訟分は上記のとおりで、根抵当権変更登記請求訴訟分の訴額は20万円とし根抵当権抹消登記請求分と根抵当権変更登記請求分を合算した額となりました。

 

 さて、後者の場合ですが、裁判所と打ち合わせをした結果、訴額については根抵当権抹消登記請求訴訟分だけで根抵当権元本確定請求訴訟分はかかりませんでした。なお、この時は根抵当権抹消登記請求訴訟の訴額が120万円を超えており、元本確定分の訴額次第では140万円を超えてしまう可能性がありましたね。

 

 このように、根抵当権抹消登記請求訴訟の場合は、当該根抵当権の元本が確定した旨を登記するケースがあるため、訴額については事前に管轄裁判所に照会しておいても良いかもしれないですね。