とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

取締役及び株主につき後見開始の審判があった場合

 とある株式会社の代表取締役Xが亡くなり、残されたXの配偶者たる取締役Yが認知症になってしまった場合、どうすればいいかにつき相談がありました。

 

(例)

株式会社A(閉鎖会社で取締役会及び監査役は設置していない。)

代表取締役兼取締役X:平成28年12月31日死亡

取締役Y

発行済株式総数:150株

・株主X:100株(平成28年12月31日死亡)

・株主Y:50株

※XとYは夫婦であり、子どもは3人いる。

 

 この場合、株主総会を開催し取締役Xの後任者を選任することになります。こういった場合、会社法第300条の規定により株主総会の招集手続を省略し、亡くなった株主の相続人全員と他の株主全員が出席した上で株主総会を開催し、取締役の後任者の選任決議をすることになります。

 

 なお、Yについては後見開始の審判が確定した時点で取締役としての退任事由に該当するため、後見開始の審判確定日をもって取締役を退任することになります。また、Yが有する株主総会における議決権は、Yの成年後見人が行使することになります。

 

 このケースにおいて、Yは株主Xの相続人であり、かつ、自身も株主であります。そのため、議決権を行使するためには成年後見人を選任する必要がありますね。