とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

名変登記を省略することができるケース

 所有権移転登記などを手がける際に名変登記の要否を検討すると思います。ただ、登記名義人の住所などが変わっている場合でも、名変登記を省略できるのは下記のケースです。

 

1.所有権以外の権利の抹消登記を申請する場合において、当該権利の登記名義人(抹消登記の登記義務者)の表示に変更が生じているときは、その変更を証する書面を添付すれば、表示変更の登記を省略して、直ちに抹消登記を申請することができる(昭和31年10月17日民甲2370号通達)

 

2.所有権に関する仮登記は所有権以外の権利に関する登記とする(昭和32年6月28日民甲1249号回答)

 

3.所有権を目的とする買戻権についても同様である(登記研究460-105頁)

 

4.相続登記を申請するときで、被相続人の表示に変更が生じているときは、その変更を証する情報を添付すれば、表示変更の登記を省略して、直ちに相続登記を申請することができる(登記研究133-46)

 

5.地役権設定登記を申請するときで、要役地の所有権の登記名義人の表示に変更が生じているときは、その変更を証する情報を添付すれば、表示変更の登記を省略して、直ちに地役権設定登記を申請することができる(登記研究393-86)

 今般、ワシの頭を悩ませたのは所有権移転請求権仮登記を混同により抹消するケースです。もちろん、所有者の立場では所有権登記名義人住所変更登記が必要です。

 ただ、所有権移転請求権仮登記の仮登記権利者の立場としては、当該仮登記を混同により抹消するので、住所異動の経過が分かる住民票などを変更証明書として添付すれば仮登記名義人の住所変更登記は不要になります。