とある司法書士の戯れ言

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錯誤取消による相続登記の抹消

 以前、ここで取り上げた相続登記の錯誤による抹消の件ですが、民法改正により錯誤は無効事由ではなく取消事由になったため、登記原因証明情報の内容も変わります。具体的には以下の通りです。

 

〇登記の原因となる事実又は法律行為

(1)相続による所有権移転登記

 平成23年4月1日、本件不動産の名義人Aの死亡により相続が開始し、Dが相続したとしてD名義への所有権移転登記(平成30年9月19日 受付第00000号)がなされている。

(2)亡A名義の不動産に関する遺産分割協議

 平成30年9月1日、亡A名義の不動産につき遺産分割協議を行ったが、今回は、亡Aが持分8分の5、Bが持分8分の3の割合で共有しているA市Y町字C5番5の土地についてのみなされたものであり、本件不動産については、後日、改めて相続人全員による遺産分割協議を行うこととなっていた。それにも関わらず、平成30年9月1日付遺産分割協議書には本件不動産もDが相続する旨の記載が誤ってなされていた。

(3)錯誤による取消の意思表示

 本件不動産につきなされた相続登記申請は、誤った遺産分割協議書に基づいて、相続人であるDが誤って申請したものである。

(3)抹消登記申請の合意

 そのため、令和2年5月2日、Dと亡Aの相続人であるB、Cは、上記(1)~(3)の事情を自認し、平成30年9月1日付遺産分割協議のうち本件不動産にかかる部分については錯誤により取り消すことで同意した。

 また、相続による所有権移転登記を、令和2年5月2日取消を登記原因として所有権抹消登記を申請する旨、亡Aの相続人であるB、Cと合意した。

 

 ちなみに、実際にこれで登記申請したことはないので、参考程度に止めておいて下さい。