商業法人登記でヒヤリとすることが多く考えられるのは代表者が変わる時でしょうか。さて、このような事例の場合はどう対応すればいいでしょうか?
☆事例
X株式会社
決算期7月
取締役会&監査役設置会社で任期10年
取締役A、B、C(平成16年10月1日重任)
代表取締役A(平成16年10月1日重任)
監査役D(平成16年10月1日重任)
※AとBは夫婦
※持株数 A:90株、B:20株、E:90株(合計200株)
Aが代表取締役&取締役をやめてAとBの息子であるEを新任代表取締役としたいとの依頼がBC及びEからあったとします。
平成26年7月の決算期にかかる株主総会終結時をもって役員の任期が満了しているので平成26年10月31日付で全員退任させた上で「取締役BCE、代表取締役E、監査役Dにつき平成29年9月30日付新規就任」との株主総会決議が成立してます。その後、従前の代表取締役だったAから電話がありこのようなやりとりがありました。
A:Bに登記手続を進めるのを止めてほしいと言ったのにどうして登記が完了しているのか?全部取り消して欲しい。
司:Bからそんな話聞いてませんし話があれば止めました。そもそも夫婦間、親子間で話し合う問題ではないでしょうか。
A:Bから聞いてなかったのですね。でも、身内の問題なのであなたには迷惑をかけません。弁護士さんに相談します。
依頼を受けた司法書士がすぐにBに電話して事情を聞いたところ、ABC間で揉めており、AとBは離婚するしないの話になっていることが判明しました…。
代表取締役が変わる場合、このようなケースも考えられます。依頼者であるBとCにAが再任されない理由を確認した上で、従前の代表取締役たるAの本人確認も必要だと考えます。また、今回は代表取締役たる取締役Aの任期が満了しているので、Aについては議事録などに記名捺印しなくても大丈夫ですが、Aからも株主総会議事録に何らかの形で記名押印してもらっても良いかもしれません。
また、Aが代表取締役を辞任する場合には、辞任届に記名してもらったうえで会社届出印を押印すれば足りますが、不安であれば辞任届に個人の実印を押印してもらった上で印鑑証明書も添付してもらうようにしても良さそうです。
面識がない会社等から代表者変更の依頼があった場合には注意が必要ですね。