とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

年度末の決済での出来事

 3月31日の午後の決済でのことです。売買物件は3人共有の土地で、共有者かつ売主さんの1人が実印を忘れてしまいました。それも、その方は都内に住んでおり実印を自宅に取りに行き、決済場所に戻ってくるだけでも4時間以上かかってしまいます。ただ、買主さんの都合と金利の関係で、3月31日に住宅ローンの融資実行をしなくてはなりません。

 

 なお、売主たる共有者全員の印鑑証明書と登記識別情報、固定資産評価証明書は揃っており、買主さんの住民票及び住宅ローンにかかる抵当権設定登記に必要な書類は揃っています。また、実印を忘れた売主さんですが認印を持っていました。さて、ワシはどう対処したでしょう。

 

 売主さんのうち、実印&印鑑証明書を持ってきていた方々につき、先に、登記原因証明情報及び委任状に記名押印してもらいました。また、実印を忘れた方については登記原因証明情報に記名し認印を押印してもらいました。そして、この件については決済を進め、住宅ローンの融資を実行してもらった上で、3月31日の夕方にオンライン申請をすることで受付番号を確保し、昨日(月曜日に)別送書類を法務局に提出することができました。

 

 なお、実印を忘れた共有者の1人たる売主さんは電車で来てたので、仲介業者さんの車で都内の自宅に実印を取りに戻り、3月31日の午後8時前に実印を持ってワシの事務所に戻ってきてくれました。その後、当該売主さんについては、委任状に記名してもらい、実印も押印してもらうことができましたね。

 

 このやり方については賛否両論が分かれるはずです。ワシ自身も本来なら延期する案件になります。ただ、今回実印を忘れた方からは、今回の決済の数ヵ月前に所有権登記名義人住所変更登記の依頼がありました。そのため、電話で打ち合わせをしたり郵便で必要書類のやり取りをしたので、全くの初対面ではありませんでした。

 

 また、仲介業者さんもきちんとしているところだったので、買主さんの事情も含めて総合的に判断した結果、決済を進めることにしました。

 

 ちなみに、今回の登記ですが、本日、無事に完了しました。

 

 このやり方が正しいとは言い切れないですし結果オーライ的なところもあります。ただ、こういったケースで考えられる対処法の1つになると思います。