とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

裁判上の和解調書謄本による登記

 前出の真正な登記名義の回復による所有権移転登記の件になりますが、こちらは「乙から丙に真正な登記名義の回復により所有権移転登記手続をせよ」との裁判上の和解が成立したことによるものでありました。ただ、1つ問題があり和解調書正本を紛失してしまったとのことでした。

 

 和解調書正本があれば、丙の単独申請により乙から丙に真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続が可能になります。しかし、和解が成立したのは数十年前で、丙は和解調書正本を紛失してしまっています。

 

 しばらくして、丙は裁判所で和解調書謄本を取得してきました。この件は第1審が地元地裁で行われ、控訴審が東京高裁で行われそこで和解が成立しました。この和解調書謄本は地元の地裁で取得したものでありました。

 

 東京高裁で和解調書正本を再交付請求することも可能そうでしたが、当事者は高齢であり東京高裁まで行ってくるのも体力的にキツそうだったので、和解調書謄本を利用して登記をすることができるかどうか検討することにしました。検討した結果、和解調書謄本を登記原因証明情報とし、乙と丙との共同申請で登記を進めることができるのではないかとの結論に至り管轄法務局に照会をかけました。その結果、共同申請であれば和解調書謄本を登記原因証明情報としてもOKとのことでした。

 

 今回は乙が登記手続に協力してくれるとのことだったので、乙と丙の共同申請で登記を進めることができそうです。