とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

会社につき「費用不足による破産手続廃止決定確定」後の不動産の売買

 先日、相談があった件です。いわゆる任意売却の相談で売主さん(不動産所有者)は会社であり、すでに破産宣告がされているとのこと。そのため、その会社の登記情報を確認してみたところ下記の記載がありました。

 

「平成21年○月○日午後5時○○地方裁判所○○支部の破産手続開始」

「平成23年△月△日○○地方裁判所○○支部の費用不足による破産手続廃止の決定確定」

 

 登記情報の上部には「これは閉鎖された登記簿です」と記載されているため、登記簿はすでに閉鎖されております。そして、破産手続廃止決定が確定したということは、破産財団をもって破産手続の費用をまかなうことができなかったということになり破産手続自体が終了したことになります。

 

 破産手続が終了したので破産管財人の任務が終了してしまっております。そこで、今回のように破産会社名義の不動産を売買する場合において誰が当該会社を代表するかが問題になります。

 

 ちなみに、破産廃止決定が確定しても残余財産がある以上、当該会社につき登記簿が閉鎖されていても清算手続が完了するまでは解散会社として法人格が存続するそうです。

 

 そのため、当該会社名義の不動産を処分するためには会社を代表する者を選任しなくてはなりません。この場合、定款または株主総会決議により取締役以外の者を清算人と定めることになります。もし、定めない場合は利害関係人が裁判所に対し当該会社の清算人の選任申立をし、裁判所で選任してもらうことになります。

 

 そして、定款、株主総会もしくは裁判所で選任された清算人が当該会社を代表して残余財産たる不動産を売却することになります(参考:最判昭和43年3月15日)