租税特別措置法第84条の2の3の規定ですが、相続登記だけでなく遺産分割を原因とする所有権移転登記にも適用があるか否かにつき、登記研究第859号138頁の質疑応答に見解が出ていました。結論は第1項、第2項ともに適用されるとのことです。
第1項の具体例ですが、Aが死亡し、法定相続人B及びCが法定相続分により相続登記をした後に、Bの相続人Dが被相続人Aの相続にかかるBC間の遺産分割を原因として、C持分を亡Bが取得するケースがこれに当たります。
この場合、遺産分割を原因として亡BへのC持分全部移転登記をすることになりますが、この登記にかかる登録免許税は租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税になります。
第2項の具体例ですが、Eが死亡し、法定相続人F及びGが法定相続分により相続登記をした後に、相続人Fが被相続人Eの相続にかかるFG間の遺産分割を原因として、G持分をEが取得するケースで、対象不動産たる土地の価額が100万円以下の場合です。
この場合は、租税特別措置法第84条の2の3第2項の規定により、遺産分割を原因とするFへのG持分全部移転登記の登録免許税は非課税になります。
滅多にない事例かもしれませんが、頭の中に入れておいた方がいいと思います。