とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

農地法の許可書で当事者の住所等に誤りがある場合

 現在手がけている件です。農地法の第5条許可書に記載されている譲渡人(売主)の住所が旧住所で、行政書士さんが許可申請前に住所移転しているのを見落としたようです。

 

 このケースでは登記簿上の住所自体が旧住所のままなので、所有権移転登記の前提として所有権登記名義人住所変更登記をすることになりますが、農地法第5条許可書に記載されている譲渡人の住所はどうすればいいのでしょうか。

 

1.登記研究第146号

 農業委員会に提出する際、許可書の譲渡人の住所を誤記し、そのまま知事の許可を受け、登記簿や印鑑証明書の住所と一致しない場合は、農業委員会の誤記証明書の添付で足りるが、譲受人の場合は、知事の誤記証明書を必要とする。

 

2.登記研究第166号

 許可申請後、農地につき住所の変更登記をしたため、許可書記載の住所と登記簿上の住所と異なる場合でも、登記簿の記載から同一性が認められるから、その許可書を添付した登記の申請は受理される。

 

 譲渡人(売主)の住所が誤っている場合は、最悪でも農地法許可書につき農業委員会発行の誤記証明書があれば足りるようです。ただ、誤記証明書が発行されない場合は許可の取り直しになる可能性があります。

 

 ただ、譲受人(買主)につき住所や氏名に誤りがあった場合には許可権者発行の誤記証明書が必要になるなど、取り扱いが結構厳しいですね。ただ、許可申請後の住所移転の場合は住民票などで同一人であることが明らかであればその許可書をそのまま使うことができるようです。農地法は農地を守るための法律なので、農地を取得する者がどんな人かを重視しているので、譲受人(買主)の取り扱いが厳しいのもやむを得ないでしょうね。