とある司法書士の戯れ言

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子会社の吸収合併

 先日、ウチの事務所に吸収合併の依頼がありました。地元の会社が完全子会社を吸収合併するとのことで、吸収会社の資本金は変わらないとのことです。この場合、簡易合併と略式合併になるかどうか検討する必要があります。

 

 簡易合併とは、存続会社が合併に伴って消滅会社の資産と負債を受け入れる際に、消滅会社の株主に対して合併新株などの対価を交付する場合、この対価の価額が存続会社の純資産額の5分の1を超えない場合は、存続会社において 株主総会の承認決議が不要とされています(会社法第796条第3項)。なお、無対価である場合も可能です。

 

 略式合併とは、一方が他方の総株主の議決権の90%以上を支配している場合、子会社において株主総会の承認決議が不要です(会社法第784条第1項、第796条第1項)。なお、支配形態が直接保有に限らず間接保有の場合も同様です。

 

 また、吸収合併の場合の登録免許税は以下の通りになります。

 

1.存続会社の登録免許税

①吸収合併により資本金の額が増加しない場合:30,000円

②吸収合併により資本金の額が増加する場合:増加した資本金の額×1000分の1.5

 なお、この額が30,000円に満たない場合は、登録免許税は30,000円になります。また、増加する資本金の額が消滅会社の資本金の額を上回る場合は、上回った分については1000分の7になります。

 

(合併前)

・存続会社:資本金5,000万円

・消滅会社:資本金2,000万円

 

(合併後)存続会社:資本金8,000万円

 この場合の登録免許税は以下の通りに算出します。

2,000万円(消滅会社の資本金の額) ×1000分の1.5=30,000円

1,000万円(超過分)×1000分の7=70,000円

 

⇒30,000円+70,000円=100,000円

 

2.吸収合併消滅会社の登録免許税:30,000円

 

 まずは依頼会社から資料を取り寄せ、内容を確認する必要がありますね。

 

 なお、株主総会決議で合併承認決議をすることになりますが、存続会社のみならず消滅会社の株主リストも、存続会社の代表取締役が作成することになります。

 

☆組織再編に関する登記における株主リストの作成者(法務省

https://www.moj.go.jp/content/001214713.pdf