とある司法書士の戯れ言

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産業組合の閉鎖謄本が見つからないケース

 現在手がけている産業組合名義の抵当権抹消の件になりますが、抵当権が設定されている土地の閉鎖謄本を取得して弁済期等も判明しましたが、抵当権者たる産業組合の閉鎖謄本が見つからないとのことの話が法務局からありました。そこで、法務局に下記の内容で照会をかけました。

 

(1)産業組合は、昭和18年9月15日施行の農業団体法第88条の規定により、市町村農業会を設立する場合においては、産業組合は行政長官からの解散命令により解散し、産業組合が有した権利義務は市町村農業会が包括承継することになった。権利義務を包括承継した市町村農業会も「農業協同組合法の制定に伴う農業団体の整理等に関する法律」により昭和22年8月15日法定解散している。

(2)産業組合法は、昭和23年10月1日に消費生活協同組合法の施行により廃止された。そのため、もし(1)により権利義務が市町村農業会に権利義務が包括承継されていないとしても、消生活協同組合法施行から2年後に産業組合はすべて解散すると定められていたため、現在は全ての産業組合は解散していることになる。

(3)また、抵当権者たる産業組合の閉鎖謄本がないということは、所定の保存期間(解散登記後10年経過+閉鎖謄本の保存期間20年)が経過しているため廃棄されているのではないか。

(4)上記(1)~(3)により、当該産業組合は少なくとも30年以上前に解散していると言える。

(5)当該抵当権の被担保債権の弁済期は別添閉鎖登記簿謄本記載のとおりである。それによると弁済期から30年以上経過してるのが明らかである。

(6)よって、このケースでは不動産登記法第70条の2の適用がある。

 

 法務局への照会はこのような内容で行い、考え方としてはこれでOKとの回答をいただきました。あとは、登記申請時に登記原因証明情報として添付する書類をどうするかにつき打ち合わせをすることになります。