とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

信託の登記を漏らしてしまった場合

 先日、信託の登記に関する興味深い先例を見つけました。

 

☆昭和41年10月31日付民事第2970号民事局電報回答

 売買を原因として乙が甲から所有権取得の登記をしている土地について、丙を委託者とし、乙を受託者とする信託財産の処分により得た財産であるとして、後日乙から信託登記の申請があったときは、受理してさしつかえない。

 

 信託の登記については、当該信託にかかる権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしなければならないことになっています(不動産登記法第98条第1項)。そのため、上記のケースにおいて、受託者乙が信託財産に属する金銭で不動産を甲から購入した場合、当該土地も信託財産になるため甲から乙への所有権移転登記と乙による信託財産処分による信託の登記は、同時に申請しなければなりません。

 

 ただ、甲から乙への売買による所有権移転登記の完了後に、乙から信託財産処分による信託の登記が申請された場合は受理されます。よって、あとから信託財産処分による信託の登記をすることもできるということになります。