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信託財産を受託者の固有財産とする旨の登記

 先日、信託財産を受託者の固有財産とする旨の登記に関する通達が民事局より発出されました。(令和5年12月22日付)

☆事例

1.信託財産は不動産のみであり、登記名義人を受託者Bとする所有権の登記がされている。

・委託者A

・受託者B(BはAの相続人の一人である。)

・受益者A

2.信託目録に次の記録がある。

(1)委託者Aが死亡した場合には、信託が終了する。

(2)委託者の死亡により信託が終了した場合の清算受託者及び残余財産帰属権利者は、信託終了時点における受託者とし、その者に給付引渡すものとする。

 

3.委託者兼受益者Aが死亡したため受託者Bから下記の登記申請があった。

(1)受益者をBとする旨の登記原因証明情報に基づく受益者の変更登記申請

(2)登記権利者を受託者B、登記義務者を受益者Bとする不動産に関する権利が信託財産に属する財産から固有財産に属する財産となった旨の登記の申請

 

4.通達の要旨

 この場合、信託目録の記録からBが受益者とみなされることが明らなため、当該受益者の変更登記の申請は受理することができる。

 また、当該受益者の変更登記によって登記記録上の受託者及び受益者がいずれもBとなることから、信託財産を受託者の固有財産とする旨の登記の申請についても受理することができる。