とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

先日受託した件につき後見人選任審判確定

 先日受託した件につき、昨日の午前中に後見人選任審判書が特別送達されました。今回は後見人の交代なので、ワシが審判書を受領した時点で後見人選任審判が確定したことになります。

 

 この件については、今日、被後見人さんが入院している病院に出向いて挨拶をしに行ってきました。担当の方は不在だったので、お盆明けに改めて打ち合わせをすることになりました。また、19日に書類などの引き継ぎの準備の一環として、東京法務局に登記事項証明請求書を送付したり、当日持って行く書類などの準備をしました。

 

 この件は、これから本格的に取り組んでいくことになります。どういうことになっていくかは分かりませんが、諸問題に対し腰を据えて取り組んでいこうと思います。

登記簿上の住所にマンション名と部屋番号がない場合

 以前、売主さんの印鑑証明書に記載の住所と登記簿上の住所が若干違うケースがありました。

 

・印鑑証明書:T県A市B町100番地 XYZマンション301号室

・登記簿上の住所:T県A市B町100番地

 

 このような場合に登記簿上の住所を「T県A市B町100番地 XYZマンション301号室」に更正する必要はありません。なぜなら「XYZマンション301号室」はいわゆる「方書き」であるため、登記簿に記載する必要はないからです。

 

 ただ、所有権移転登記をする場合に登記権利者の住民票に記載されている住所が「T県A市B町100番地 XYZマンション301号室」の場合は、登記申請書も住民票の記載通りにするようにしてます。

 

☆根拠(昭和40年12月25日民事甲第3710号)

 住民票に「何市何町何丁目何番地何 何マンション201号」とある場合は、これを住所として登記申請書に記載することができる。後日、抵当権設定登記の際に添付された印鑑証明書に「何マンション201号」の記載がないときでも、住所の更正登記の必要はない。

増築時の住宅用家屋証明書取得の根拠法令

 建物の増築工事完了後に住宅ローンの融資が実行されるケースでは、住宅用家屋証明書を取得して租税特別措置法第75条により抵当権設定登記の登録免許税の軽減を受けることができる場合があります。

 

 抵当権設定登記の登録免許税の軽減を受けるための要件は下記の通りです

 

1.新築若しくは増築または取得後1年以内の住宅であること。 

2.住宅を新築若しくは増築または取得するための資金の貸付(貸付に係る債務保証を含む)に係る債権であること。 

3.住宅を新築若しくは増築または取得するために、賦払いの方法により対価の支払いが行われる場合、その賦払金に係る債権であること。 

4.住宅の登記名義人と債務者が同一であること。

 

 根拠条文は、租税特別措置法施行令第42条の2の3の規定になります。このケースで住宅用家屋証明書を取得するのに必要な書類は下記の通りです。

 

・建築確認

・増築にかかる住宅の所有者の住民票

・建物表題変更登記完了証

・増築資金借り入れにかかる金銭消費貸借契約書

・抵当権設定契約書

 

 抵当権を設定する前に増築による建物表題変更登記が完了していることが要件の1つになります。この点がポイントになりますね。また、抵当権者が金融機関の保証会社の場合は、保証会社との保証委託契約書も必要になります。

猛暑続きの日々

 梅雨が明けてから途端に猛暑日が続いてます。日中は猛暑の上に、夕方以降、夕立がなく気温が下がらないため正直言ってバテ気味です。

 

 夏は好きな季節ですが、これだけ暑いとキツいですね。天気が良いので外で体を動かしたいですが、あまりの暑さに音を上げてしまう今日この頃であります。この猛暑はいつまで続くのでしょうね。

 

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法人登記の委任状への認可書到達年月日の記載

 以前、社会福祉法人の目的変更登記を申請した際に指摘されたのが「委任状への認可書到達年月日の記載」に関するものでした。

 

 登記官からの指示は「登記申請書だけでなく委任状にも認可書(許可書)の到達年月日を記載してほしい」とのことだったので、補正に応じました。

 

 だいたいの法人については定款(寄付行為)に変更があった際には所轄庁の認可(許可)が必要です。そして、認可書(許可書)が登記申請人に到達した日をもって、定款(寄付行為)の変更の効力が発生します。

 

 その根拠は「主務官庁の許可という行政行為は、その行為のみで効力を発生するものではなく、相手方がこれを了知し得べき状態、すなわち到達したときにその効力が発生すると解すべき。」ということになります。(登記研究第152号)

 

 認可書(許可書)が到達した日は、依頼者に確認する必要があります。そういうことから登記申請書だけでなく依頼者から司法書士への委任状にも認可書(許可書)の到達年月日を確認した上で記載することになるのかなと思います。

所有権移転仮登記の本登記の登録免許税率

 先日、農地法第5条の許可を条件とする土地売買による条件付所有権移転仮登記を申請しました。この件については、農地法第5条許可がおり次第、本登記をすることになります。

 

 さて、今回の土地売買による条件付所有権移転仮登記は平成30年に申請されたので登録免許税率は1000分の10でした。さて、本登記をする場合の登録免許税率はどうなるでしょうか。

 

 現在、土地の売買による登録免許税率は1000分の15に軽減されてます。そのため、本登記の登録免許税率は登録免許税法第17条第1項により「1000分の15-1000分の10=1000分の5」になります。本登記をするのは少し先になります。それまでに登録免許税率が変わっていなければいいですがどうでしょうね。

 

 なお、参考までに土地売買の場合と建物売買や贈与の場合についても挙げておきます。【登録免許税法第17条第1項、所得税法等の一部を改正する法律(平成15年法律第8号)附則第24条第4項、租税特別措置法第72条第3項参照】

 

1.土地売買

・仮登記された時期が平成15年3月31日以前:1000分の12

・仮登記された時期が平成15年4月1日~平成18年3月31日まで:1000分の7.5

・仮登記された時期が平成18年4月1日以降:1000分の5

 

2.建物売買もしくは贈与等の場合

・仮登記された時期が平成15年3月31日以前:1000分の16

・仮登記された時期が平成15年4月1日以降:1000分の10

固定資産評価証明書記載の地積が登記事項証明書記載の地積より少ない場合

 先日申請した件で、今日の午後、地元の法務局から「固定資産評価証明書に記載されている地積が登記事項証明書に記載されている地積よりも少ないがどういうことか?」との連絡がありました。

 

 ワシもまさかと思い法務局で書類を確認したところ、確かに「固定資産評価証明書記載の地積<登記事項証明書記載の地積」で100㎡弱違ってました。登記簿上合筆した旨の記録がなかったため、市役所の税務課に行き事情を確認したところ以下のことが判明しました。

 

☆登記事項証明書記載の地積:畑 200㎡

☆固定資産評価証明書記載の地積(当初):畑 105㎡

☆固定資産評価証明書記載の地積(修正後):畑 105㎡、公衆用道路 95㎡

 

 そうです、当初預かった固定資産評価証明書には固定資産税がかかる部分しか記載されていなかったようで、評価額が0円で固定資産税がかからない公衆用道路部分が抜け落ちていたことが判明しました。そのため、公衆用道路部分は評価額0円である旨と平米単価を追記してもらったものと差し替えてもらいました。

 

 その後、事務所に戻り、登録免許税を再計算し法務局に持って行きました。幸運にも登録免許税が変わらなかったので、物件の表示に記載した不動産価格の訂正と固定資産評価証明書の差し替えで済みました。

 

 このように、合筆や分筆していないにも関わらず固定資産評価証明書記載の地積と登記事項証明書記載の地積が異なる場合があります。こういった場合は、固定資産評価証明書につき公衆用道路部分等の非課税部分の記載が漏れている可能性があります。今回は見事に見落としてしまったため、今後、気をつけようと思います。

成年後見人の印鑑証明書と審判確定証明書

 ワシが成年後見人に選任された際には、成年後見人の登記事項証明書を複数通取り寄せておきつつ、万が一に備えて審判の確定証明書も取得しておきます。様式は簡裁民事訴訟における判決確定証明書とだいたい同じですし、確定証明書発行にかかる手数料が150円(収入印紙で納付)も簡裁民事訴訟と変わりません。

 

 また、成年後見人としての印鑑証明書も必要になることがあるので、裁判所に印鑑を届け出ておきます。ちなみに、成年後見人としての住所が自宅ではなく事務所なので、印鑑証明書として考えられるものは以下のものになると思います。

 

・自宅住所記載の個人の印鑑証明書&日司連発行の登録事項証明書(または所属会発行の会員であることの証明書)

・所属司法書士会発行の職印証明書

家庭裁判所書記官発行の印鑑証明書

 

 家庭裁判所書記官発行の印鑑証明書は1通につき150円(収入印紙で納付)になります。なお、登記研究によれば家庭裁判所書記官発行の印鑑証明書でも登記には使えます。

 

 さて、遺産分割協議書や預金相続のために金融機関に提出する書類等に裁判所への届出印を押印の上、家庭裁判所書記官発行の印鑑証明書を添付しても大丈夫でしょうか?家庭裁判所書記官発行の印鑑証明書も官公署発行の印鑑証明書に該当するので、大丈夫でしたが、金融機関には事前に確認しておいてもいいかもしれません。

 

 ちなみに、職務上請求書の2号様式を使って戸籍など相続手続に必要な書類一式を取得する場合、役所の窓口にて登記事項証明書を提示の上「原本に相違ない」旨を記載した写しを提出します。

 

 また、成年後見人として被後見人さん名義の不動産にかかる固定資産評価証明書を取得する際にも、登記事項証明書を提示の上とその写しを請求書に添付しましたね。

「己」「巳」「已」にまつわるエトセトラ

 今日、翌日以降に申請する登記申請書を見直していたところ、住民票は「克已」で登記簿上は「克己」になってました。
 
 ここで問題になるのは「己」「巳」「已」が同一文字として扱われるか否かです。ちなみに、住民票上の記載は当初「克己」でしたが表記を「克已」に訂正してあります。
 
 平成16年10月14日民一第2842号通達の改正により「己」から「已」への訂正が認められなくなったので、住民票の表記の訂正は平成16年10月以前に行なわれたものと考えられます。
 
 ちなみに、この通達の改正により、下記のような訂正が認められなくなってます。
・己⇒已
・已⇒巳
・己⇒巳
・已⇒己
 
 ゆえに、これら3つの文字は同一文字として扱われないと考えることができます。しかし、登記研究549号には下記の記載がありました。
 
 登記名義人の氏名に「已」の文字が記載されている場合において「己」を正字として登記の申請をするときは、同一人と認められるときは登記名義人の表示の更正を要しない。
 
<問>登記簿上の登記名義人の氏名に「已」の文字が記載されている場合に、「己」を正字として登記の申請をするときは、「已」と「己」とは誤字俗字・正字一覧表において誤字俗字と正字の関係に有るものの、同表において◎印が付され、別字(それぞれ正字)であるとされているため登記名義人の表示の更正を要するものと考えますが、いかがでしょうか。
 
<答>登記名義人と登記申請人とが同一人と認められる場合は、登記名義人の表示の更正を要しないものと考えます。
 
 今回のケースは登記簿が「己」で住民票が「已」なので、この質疑応答とは逆パターンになります。住民票には「己」から「已」に訂正した旨の記載があるため、同一人であることが明らかです。ゆえに、所有権登記名義人氏名更正登記は不要と考えます。
 
 ちなみに、この問題は不動産登記のみならず商業法人登記でもあり得るものですね。

敷地権付き分譲マンションの登記識別情報

 先日、決済した分譲マンションの件ですが、昨日になって法務局から「土地の登記識別情報がない」との連絡がありました。

 

 何のこっちゃと思い、登記官に確認してみると「分譲業者さんが土地と建物を取得した後に区分建物の登記と敷地権の登記がされているので土地の登記識別情報も必要です。」との回答がありました。登記研究に出てますね。

 

☆一体化した区分建物の所有権移転登記の申請書に添付すべき登記済証は、一体化後に所有権移転登記を経由していない場合は「専有部分の所有権に関する登記済証」と「敷地権となった土地の持分に関する登記済証」の両方である。(「登記研究」第478号)

 

 そんなわけで、土地の登記識別情報を追加したので事なきを得ました。預かった書類に中に土地の登記識別情報があったので「どうして必要なのかしら?」と疑問に思ってましたが、そういうことだったんですね。まだまだ知らないことや分からないことばかりだと思った先日の出来事でした。