とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

「己」「巳」「已」にまつわるエトセトラ

 今日、翌日以降に申請する登記申請書を見直していたところ、住民票は「克已」で登記簿上は「克己」になってました。
 
 ここで問題になるのは「己」「巳」「已」が同一文字として扱われるか否かです。ちなみに、住民票上の記載は当初「克己」でしたが表記を「克已」に訂正してあります。
 
 平成16年10月14日民一第2842号通達の改正により「己」から「已」への訂正が認められなくなったので、住民票の表記の訂正は平成16年10月以前に行なわれたものと考えられます。
 
 ちなみに、この通達の改正により、下記のような訂正が認められなくなってます。
・己⇒已
・已⇒巳
・己⇒巳
・已⇒己
 
 ゆえに、これら3つの文字は同一文字として扱われないと考えることができます。しかし、登記研究549号には下記の記載がありました。
 
 登記名義人の氏名に「已」の文字が記載されている場合において「己」を正字として登記の申請をするときは、同一人と認められるときは登記名義人の表示の更正を要しない。
 
<問>登記簿上の登記名義人の氏名に「已」の文字が記載されている場合に、「己」を正字として登記の申請をするときは、「已」と「己」とは誤字俗字・正字一覧表において誤字俗字と正字の関係に有るものの、同表において◎印が付され、別字(それぞれ正字)であるとされているため登記名義人の表示の更正を要するものと考えますが、いかがでしょうか。
 
<答>登記名義人と登記申請人とが同一人と認められる場合は、登記名義人の表示の更正を要しないものと考えます。
 
 今回のケースは登記簿が「己」で住民票が「已」なので、この質疑応答とは逆パターンになります。住民票には「己」から「已」に訂正した旨の記載があるため、同一人であることが明らかです。ゆえに、所有権登記名義人氏名更正登記は不要と考えます。
 
 ちなみに、この問題は不動産登記のみならず商業法人登記でもあり得るものですね。