とある司法書士の戯れ言

KIKURINGの司法書士ライフと日常

保留地の所有権移転

 先日、地元で行われている土地区画整理事業の保留地を購入した方から売買による所有権移転の依頼がありました。すでに換地公告が済んでおり、土地区画整理組合名義で所有権保存登記も完了しています。

 

 ここでふと思ったのが、登記原因証明情報をどういう内容にするかです。登記原因証明情報も当職が作成することになったので、どう起案するか考えてしまいました。結果、以下の内容で作成し、土地区画整理組合から調印していただきました。

 

(例)

 

1.登記の原因となる事実又は法律行為

 

(1)売買契約

 X市土地区画整理組合は、Aに対し、平成25年10月1日、本件土地を売った。

 

(2)所有権移転時期の特約

(1)の売買契約には、換地処分の公告前に売買代金の支払が完了した場合、換地処分の公告が行われた日の翌日に、本件土地の所有権がAに移転する旨の所有権移転時期に関する特約が付されている。

 

(3)代金の支払
 AはX土地区画整理組合に対し、平成26年2月1日、売買代金全額を支払い、X市土地区画整理組合は、これを受領した。

 

(4)換地処分の公告

 本件土地につき、土地区画整理法第103条第4項の規定による換地処分の公告は平成27年3月15日になされた。

 

(5)所有権の移転

 よって、本件土地の所有権は、本件土地の換地処分の公告がなされた日の翌日である平成27年3月16日に、X市土地区画整理組合からAに移転した。

 

 なお、保留地の売買の場合、換地処分の公告の日以前に売買代金全額の支払いがなされたものについては公告の日の翌日に所有権が移転し、換地処分公告の日より後に売買代金全額の支払いがなされたものについては売買代金全額の支払があった日の翌日に所有権が移転するものと定められていることが多いようです。

 

 保留地の売買は換地処分公告がなされるまでは売買の対象になる土地が存在しないのでこのような取扱いになるのですね。勉強になりました。