とある司法書士の戯れ言

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所有権保存登記の委任日

 時々疑問に思うのは所有権保存登記の委任日です。委任日は依頼者から記名押印していただいた日になるのが先決ですが、委任日の範囲もあると思います。

 

 建物所有権保存登記については下記の3つのうちいずれか以降の日付になると思います。

 

1.建物新築年月日以降

2.建物表題登記申請日以降

3.登記簿に新築年月日の下に記載されている建物表題登記日以降

 

 そこで、先週、建築日が昭和50年3月31日、表題登記申請日が6月11日で完了日が6月25日の建物の所有権保存登記を申請しました。依頼者から所有権保存登記の委任状に署名押印してもらった日が6月11日だったので、委任日は6月11日になります。

 

 その結果、本日、所有権保存登記は無事に完了しました。依頼者から所有権保存登記手続の委任を受けた時点では建物表題登記が完了していないので、委任状に記入する不動産の表示が確定していないという点が引っかかりましたが、その点は問題なしだったようです。よって、上記1の建物新築日以降であれば、建物が存在するのが明らかなので、所有権保存登記の委任日も建物新築日以降であれば問題ないと言えますね。

 

 ちなみに、国有地などの払下げによる土地の所有権保存登記の委任日についてはどうでしょうか?

 

1.払下げ対象土地の売買の日(代金支払日)以降

2.土地表題登記申請日以降

3.登記簿に記載されている土地表題登記日以降

 

 先出の建物のケースを踏まえると、払下げによる土地の所有権保存登記の委任日は、1の土地の売買の日(代金支払日)以降だと考えます。なぜなら、代金支払をもって土地の払下げ手続は完了しているからであります。

 

 ちなみに、敷地権付区分建物の所有権保存登記の場合には、敷地権部分たる土地の所有権移転も含むため、登記原因及び日付も登記事項になります。よって、委任日は所有権移転登記などの場合と同様になりますね。