とある司法書士の戯れ言

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抵当権追加設定登記の債権額

 抵当権追加設定の際の債権額は、当初設定した抵当権の債権額にするのがほとんどだと思いますが、債権額が異なっていても問題はありません。

 

 今回は、土地に抵当権設定後、完成した建物に抵当権を追加設定するケースですが、土地に抵当権設定後に被担保債権の返済が始まり、追加設定時には下記の通り一部返済されている状態でした。

 

・令和3年1月31日付で土地に抵当権設定時の債権額:金1,000万円

・令和3年8月31日付で建物に抵当権を追加設定時の債権額:金950万円

 

 このように、抵当権設定契約後に債権の一部について弁済があり、残存債権について抵当権設定登記をする場合、一部弁済の旨を記載する必要はありません。(昭和34年5月6日民甲900号通達)よって、建物に追加設定する場合の債権額は金950万円にすることも可能です。なお、この場合については先に土地に設定登記をした抵当権の債権額の変更登記をしなくても差し支えありません。(登記研究163号)

 

 なお、債権額1,000万円(現在額金950万円)と記載のある抵当権追加設定契約書を添付して、債権額を金1,000万円とする設定登記の申請は、受理してさしつかえありません。(昭和41年12月6日民事甲第3369号民事局長回答)

 

 今回のようなケースは初めてだったので、当初は面食らってしまいましたね。