とある司法書士の戯れ言

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委託者変更及び受益者変更の登記

 信託法改正により、委託者の地位の移転に関する規定が定められました。

 

☆信託法第146条:委託者の地位は、受託者及び受益者の同意を得て、又は信託行為において定めた方法に従い、第三者に移転することができる。

 

 法律上、信託行為に受益権譲渡による委託者の地位の定めがない場合、委託者の地位の移転には「受託者及び受益者の同意」が必要になり、信託行為に定めがある場合、委託者の地位は受益権譲渡に伴い当然に移転します。

 

 ちなみに、信託法改正前は、委託者の地位の移転に関する定めはなく「受益権の譲受または承継により受益権を取得した者は、信託行為上の受益者及び委託者の地位としての権利及び義務を全て承継し、かつ、委託者の地位及び受益者の地位を承継するものとする。」と解釈されていました。

 

 なお、登記実務上、信託契約書(信託行為)において、委託者の地位を承継させない条項がない限り、受益権売買があった場合には委託者の変更登記が必要となります。また、委託者変更と受益者変更は一括申請できないので別々に申請することになります。