相続法改正により、遺言や遺産分割協議により法定相続分を超える相続分を取得する場合、法定相続分を超える部分については対抗要件を具備しないと、第三者に対抗できなくなりました。(民法第899条の2)そのため、不動産であれば相続登記、自動車であれば登録、動産であれば引渡しの手続が必要になります。
なお、債権の場合、債務者に対する通知または債務者の承諾(債務者以外の第三者なら確定日付のある証書による通知又は承諾)が対抗要件具備のために必要です。なお、債権の場合、相続人全員で債務者に対して通知を送るのが原則ですが、そうでないと通知できずに対抗要件を具備できないことになります。
そこで、民法第899条の2第2項で「前項の権利が債権である場合において、次条及び901条の規定により算定した相続分を超えて当該債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容(遺産の分割により当該債権を承継した場合にあっては、当該債権に係る遺産の分割の内容)を明らかにして債務者にその承継の通知をしたときは、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなして、同項の規定を適用する」と定められています。
よって、法定相続分を超えて債権を取得した相続人は、遺言もしくは遺産分割協議の内容を債務者に明示した承継の通知をすれば、共同相続人全員からの通知とみなされ、対抗要件を具備したものと扱われます。