相続手続で遺産分割協議を行なう際に、被後見人さんと成年後見人が共に相続人である場合、利益相反の関係になります。この場合、原則として利益相反関係にある成年後見人につき特別代理人を選任することになります。
ただし、以下の場合は特別代理人の選任は不要です。
1.成年後見人が複数名おり、1名は身上監護権限を有する親族後見人、もう1名はそれ以外の権限(財産管理権限を含む)を有する専門職後見人である場合(権限分掌の定めがある場合)
⇒この場合、専門職後見人が財産管理権限を有するので専門職後見人が遺産分割協議に参加し遺産分割協議書に署名押印すればOKです。遺産分割協議書には専門職後見人としての実印を押印した上で、印鑑証明書及び成年後見人の資格を証する書面を添付することになります。
2.成年後見人につき後見監督人がついている場合
⇒この場合、後見監督人が遺産分割協議に参加し遺産分割協議書に署名押印すればOKです。(民法第851条4号、860条但書)この場合、後見監督人としての実印を押印した上で、印鑑証明書及び後見監督人の資格を証する書面、成年後見人の資格を証する書面を添付することになります。