とある司法書士の戯れ言

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根抵当権者が会社分割している場合

 現在、根抵当権者が会社分割した後に解除により抹消して欲しいとの依頼があります。このケースで問題になるのが、元本確定前に根抵当権者を分割する会社分割があったことであります。

 

 元本確定前に根抵当権者を分割する会社分割があったときは、当然に、分割会社と新設会社または承継会社が、根抵当権を準共有することになります。(民法第398条の10第1項)そのため、根抵当権を抹消する前提として、今回の事例でいえば、根抵当権一部移転登記が必要なように思えます。

 

 ただし、根抵当権一部移転登記をせず、登記簿上の根抵当権者を根抵当権抹消登記の登記義務者とする登記申請も、受理されるとの先例があります。(平成14年12月25日民二第3214号民事局民事第二課長通知)よって、このケースでは会社分割による根抵当権一部移転登記をしなくても抹消登記が受理されるということですね。

 

 さて、会社分割による登記申請義務の承継についてはどうでしょうか。

 弁済等により消滅した抵当権の登記の抹消を申請する前に、抵当権の登記名義人である甲会社が会社分割(新設分割)をした場合、その抵当権の登記の抹消の申請は「分割計画書に設立会社がその登記義務を承継する旨の記載がある場合に限り」会社分割の記載のある設立会社の会社登記簿謄本及び分割計画書(分割会社の代表者の印鑑証明書付き)を添付して、設立会社と抵当権設定者とが共同で申請することができます。

 

 また、分割会社から第三者への所有権移転の登記を申請する前に会社分割(新設分割)が行われた場合において、所有権移転登記を設立会社とその第三者が共同で申請するときも、同様に、解することができる。なお、申請書には、分割会社を甲会社、設立会社を乙会社とした場合「登記義務者甲会社、右承継人設立会社乙会社」と記載することが相当とのことです。(登記研究第665号161頁)